色彩心理学とは?広告やチラシ作りに活かせる色の効果をわかりやすく解説

近年、日本経済の低迷や競争の激化により、多くの企業が商品やサービスの売上に課題を抱えています。どれほど優れたものを提供していても、消費者に「選ばれる工夫」がなければ、なかなか成果にはつながらない恐れがあります。
そこで今、注目されているのが、色を使って人の心に働きかける「色彩心理学」という手法です。色には人の心を動かす力があります。たとえば、赤は購買意欲を刺激し、青は信頼感を与えるなど、色の持つ印象や効果をうまく活用すれば、広告やチラシの反応率を高めることも可能です。
本記事では、色彩心理学の基本から、チラシやポスティングにおける効果的な色の選び方・使い方までを、初心者の方にも分かりやすく解説します。「少ないコストで反響を得たい」「もっと効果的に集客したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
色彩心理学とは?

色彩心理学とは、「色が人の心や行動にどのような影響を与えるのか」を研究する学問です。人間が視覚から得る情報の中で、色は非常に大きな割合を占めており、無意識のうちに私たちの感情や意思決定に影響を与えています。
たとえば、「赤」を見ると興奮や注意を喚起され、「青」は落ち着きや信頼感を与えるなど、色がもたらす印象は私たちの日常に深く根付いています。こうした色の持つ力を理解し、効果的に活用するのが色彩心理学の目的です。
色彩心理学では、色が人に与える影響を次の4つに分類しています。
分類 | 内容 |
---|---|
心理的影響 | 色が感情や気分に与える影響。緑は安心感を与える、クロは重厚な 印象を与えるなど。 |
生理的影響 | 色が身体に及ぼす変化。赤は心拍数を上げる、青は血圧を下げるなどの 生理的反応がある。 |
感情的影響 | 色が好悪や印象に与える影響。人によって「好きな色」「落ち着く色」 が異なるように、感情に個人差がある。 |
文化的影響 | 色の意味が文化や習慣によって変わる影響。日本で白は「清潔・純粋」、 中国では「喪」の印象など。 |
このように、色は単なる装飾ではなく、見る人の感情や行動を左右する要素として、深い意味を持っています。
色彩心理学の知識は、医療・教育・安全標識・インテリア・パッケージデザインなど、さまざまな分野で実用的に活かされています。たとえば、医療の現場では患者の不安を和らげるために、院内の壁やカーテンにリラックス効果のある青や緑といった色が使われることがあります。教育現場でも、集中力を高める青や穏やかな緑を教室内に取り入れることで、学習環境の向上が図られています。
さらに、商品パッケージや広告などのマーケティング分野では、消費者の購買意欲を高める色づかいが重視されています。たとえば「赤は売上を伸ばす色」といったデータに基づき、販促物のデザインに色彩心理学を応用することで、無意識のうちに消費者の心を動かす工夫がされています。

色彩ごとの心理的効果

チラシや広告を作成するうえで、どのような色を使うかは重要なポイントです。色にはそれぞれ特有の「心理的効果」があり、使う色によって見る人に与える印象が大きく変わります。狙いたい印象に合った色を選ぶことで、より効果的な訴求が可能になります。
以下は、主な色とその心理的効果、さらに具体的な用途の一例です。チラシや広告デザインの色選びに迷ったときの参考にしてください。
色 | 心理的効果 | 主な用途一例 |
---|---|---|
赤 | 情熱、行動力、緊急性、食欲を促す | セール告知、飲食店、目立たせたい見出しやボタンなど |
オレンジ | 活発さ、親しみやすさ、温もり | カジュアルなイベント、子ども向け企画、地域のお祭り案内など |
黃 | 明るさ、希望、注意喚起 | 子ども向け商品、元気な印象を出したい場面、目を引くポイント |
緑 | 安心感、癒し、自然、調和 | 健康食品、エコ製品、リラックスを促すサービスなど |
青 | 信頼感、誠実さ、冷静、知性 | 金融機関、医療系チラシ、企業案内など |
紫 | 神秘的、高貴、非日常 | 美容・エステ、高級感の演出、プレミアム商品など |
ピンク | 優しさ、かわいらしさ、柔らかさ | 保育、介護、女性向けサービス、安心感を出したいとき |
黒 | 高級感、重厚感、力強さ | ブランド商品、ファッション、価格帯の高い商材など |
白 | 清潔感、シンプルさ、純粋さ | 医療関係、美容系、ナチュラル・ミニマルなデザイン全般 |
グレー | 中立的、落ち着き、調和 | 背景色、モダンな印象を与えるデザイン、他の色を引き立てる役割 |
たとえば、「注目を集めたいセールのチラシ」であれば赤やオレンジを、「安心感を大切にしたい医療チラシ」であれば青や白を使うことで、訴求力が高まる可能性があります。このように、見る人の心に自然と届く色選びは、広告効果を左右する大きなポイントになります。

色彩心理学によるマーケティング効果の具体例

色彩心理学は、チラシや広告だけでなく、世界の名だたる大手企業のブランド戦略にも活用されています。ブランドカラーを戦略的に選ぶことで、消費者の無意識に働きかけ、印象づけや購買行動の後押しを行っています。
ここでは、実際に色彩心理学をマーケティングに取り入れ、成功を収めている企業の具体例をご紹介します。
企業名 | ブランドカラー | 色の心理的効果 | マーケティング効果 |
---|---|---|---|
コカ・コーラ | 赤 | 情熱やエネルギーを象徴し、興奮や活力を感じさせる | 消費者の注意を引き、購買意欲を刺激。イベント時の訴求力も高い |
スターバックス | 緑 | リラックス、自然、安心感を与える | 落ち着いた空間を演出し、環境配慮や持続可能性といったブランドイメージを確立 |
ティファニー | ティファニーブルー(青) | 高級感、清潔感、エレガンスを連想させる | ブランドを象徴する色として定着し、プレミアム感と記憶定着を促進 |
マクドナルド | 赤・黄 | 赤は食欲を刺激し、黄色は楽しさ・親しみやすさを演出 | ファミリー層に親しまれる明るくフレンドリーな印象を形成し、世界的な認知度を維持 |
このように、色彩は単なる「デザイン要素」ではなく、ブランドの価値やメッセージを消費者に伝える重要なツールです。チラシや広告でも、伝えたい印象に合わせて色を選べば、マーケティング効果をより高めることが期待できます。

色彩心理学が広告やチラシ作りに与える効果

人は情報を受け取る際、最初に視覚からの印象で判断するため、広告やチラシなどの販促ツールでは、「一目見たときの印象」が重要になります。実際に、ビジュアル情報が人の印象形成に大きく関わることは、複数の心理学的研究で認められています。
たとえば、カナダ・ウィニペグ大学の調査によると、「消費者は製品を見てから90秒以内に購入するかどうかを判断しており、その評価の62~90%は“色”に基づいている」と報告されています。このような研究結果からもわかるように、色は購買行動を左右するほどの影響力を持つ要素であると考えられます。そのため、多くの企業が色彩心理学を広告やチラシ作りに取り入れ、ターゲットに合わせた訴求や購買意欲の促進を実現しています。
色彩心理学が広告やチラシ制作にもたらす具体的な効果については、以下の3つが挙げられます。
- 印象に残る広告を作れる
- ターゲット層に合わせた訴求ができる
- 購買意欲を促せる
それぞれの効果について、さらに解説していきます。
印象に残る広告を作れる
色は視覚情報の中でもっとも早く認識される要素です。広告やチラシでは「第一印象」が重要であるため、見る人に好印象を与える色味を使えば、それだけで記憶に残りやすくなる可能性があります。
たとえば、セール告知のチラシでは「赤」が多く使われます。赤は視認性が高く、緊急性や情熱を連想させるため、「今すぐチェックしよう」という行動を自然に促します。
色が記憶に残ることで、後から思い出された際に「検索してみよう」「実際に行ってみよう」といった再接触のきっかけにもなりやすいため、さらなる集客効果も期待できます。
ターゲット層に合わせた訴求ができる
色の印象は、年齢・生活環境・価値観などによって大きく異なります。そのため、広告やチラシで伝えたいメッセージのターゲットに合った色を選ぶことが大切です。
以下は、代表的なターゲット層と相性の良いと考えられる色の一例です。
ターゲット層 | 相性の良い色(一例) | 色が与える印象・効果 |
---|---|---|
高齢者層 | 青、緑、ベージュ | 落ち着き、安心感、自然、穏やかさ |
若年層 | 赤、オレンジ、黄色 | 活動的、親しみやすさ、明るさ、楽しさ |
ファミリー層 | 緑、オレンジ、白 | 安心感、家庭的、清潔感、やさしさ |
カップル層 | ピンク、紫、ネイビー | やわらかさ、特別感、高級感、落ち着き |
※あくまで代表的な一例で、すべての人に当てはまるというものではありません。
このように、色をターゲット層に合わせることで、「これは自分に関係のある情報だ」と認識されやすくなり、広告効果を高めることが期待できます。
購買意欲を促せる
色には人の感情を動かしたり、無意識のうちに行動を促したりする心理的な効果があり、特に人間の脳は、文字や形よりも先に「色」に反応するため、無意識のうちに色から多くの情報を受け取っています。
たとえば、赤を見ると「注意」や「緊急」といった印象を持ちやすく、青を見ると「落ち着き」や「信頼」を感じる傾向があります。これは、色に対する人の反応がある意味“条件反射”のようになっているためです。
このような色の力を活かせば、商品やサービスに対して「なんだか気になる」「ちょっと使ってみたい」といった気持ちを自然と引き出すことができます。
たとえば、「資料請求」や「来店予約」といったCTA(コール・トゥ・アクション)のボタンや目立たせたいメッセージに、赤やオレンジなどの色を使用すれば、反応率が上がる可能性も期待できます。

色彩心理学を活用したポスティングチラシの作り方

効果的なポスティングを行うためには、短時間で目に留まり、興味を持ってもらえるチラシ作りが重要になります。色彩心理学の知識は、こうしたポスティングチラシのデザインを作成する際にも活用することができます。
ここでは、色彩心理学を活かした、チラシ作成の具体的なポイントを3つご紹介します。
- ターゲット層を明確にする
- 伝えたい内容に応じて強調色を使い分ける
- 全体の印象に統一感を持たせる
ターゲット層を明確にする
まず最初にやるべきことは、「誰にチラシを届けたいか」を明確にすることです。色の選び方やデザイン全体の方向性は、ターゲットの属性(年齢、家族構成、価値観など)によって大きく異なります。
たとえば、落ち着いた色調は年配層に安心感を与え、ポップな色合いは若年層やファミリー層に親しみやすく映る可能性があります。ターゲットが曖昧なままだと、チラシのメッセージもぼやけてしまい、印象に残りにくくなる恐れがあります。
まずはターゲットを具体的に設定し、その人物像に合った色使いを考えましょう。
伝えたい内容に応じて強調色を使い分ける
チラシの中で特に伝えたい内容には、目を引く「強調色(アクセントカラー)」を使うと効果的です。たとえば、「割引情報」や「電話番号」「QRコード」など、見てほしい部分に鮮やかな赤やオレンジを使うと、視線を集めやすくなります。
ただし、強調色を使いすぎると視線が定まらず、逆効果になってしまう可能性があるため、1~2色程度に絞り、視線誘導にメリハリをつけることをおすすめします。また、背景や周囲の色とのコントラストにも気を配り、「一目で伝わる」設計を意識しましょう。伝えたいことごとに、色の持つ印象を踏まえて使い分けをすると、意図が伝わりやすくなる傾向にあります。
このように、ごとの心理効果をうまく活かせば、意図した情報をより確実に届けることが期待できます。
全体の印象に統一感を持たせる
効果的なチラシを作成するには、全体の配色に統一感を持たせることも重要です。色のトーンがバラバラだと、雑多な印象を与えてしまい、肝心のメッセージが埋もれてしまう可能性があります。
ブランドカラーやロゴの色がある場合は、それを基準に色を選ぶことで一貫性のある仕上がりになります。さらに、「70:25:5の法則」を活用すると、配色のバランスが取りやすくなります。
- ベース色(70%):背景や余白などの広範囲に使う色
- メイン色(25%):見出しや写真など、目を引く部分に使う色
- アクセント色(5%):ボタンや強調したいテキストなどに使う色
このように、色の割合と組み合わせを工夫することで、見やすく魅力的なチラシを作ることができます。

色彩心理学を使ってチラシ・ポスティングの反応率を高めよう

色彩心理学は、見る人の感情や行動に働きかける効果的な手段です。色の選び方ひとつで、信頼感を与えたり、購買意欲を高めたりと、受け手の反応は大きく変わります。
実際に、大手企業をはじめとした多くの広告や販促に取り入れられていることからも分かるように、色は単なる装飾ではなく、マーケティング上の重要な要素となっています。
ポスティングチラシでも、ターゲットや訴求内容に合わせて色の工夫を行えば、手に取ってもらえる確率や反応率の向上が期待できます。色彩心理学をうまく活用して、「伝わる・記憶に残る・行動につながる」チラシ作りを目指しましょう。
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この記事を書いた人
ライン編集部

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